2.首が原因の病気について

首が原因で起きる病気にはどんなものがあるか、説明しておきましょう。意外とたくさんあることに驚かれるはずです。首から肩にかけては骨や筋肉が複雑に絡み合う部位です。それだけに、ひとつの原因から多様な症状につながることを知っておくべきです。

頸肩腕症候群

あまり聞いたことのない病名ですが、これを普通の言葉で言うと「肩こり」になります。医学用語というのは難解ですね。

人間の頭部の重さは5キログラム以上あり、背骨の上にバランスをとって乗っています。このバランスを支えているのが、首から肩甲骨のあたりにつながる僧帽筋です。通常、頭部の重みは背骨のS字カーブや、頸椎のあいだの椎間板がクッションになってうまく分散し、身体の一部に負担がかからないようにしています。しかし、長時間、悪い姿勢や無理な姿勢を続けると、筋肉に負担が集中し、疲労してしまうのです。パソコンの入力作業はその典型ですし、昔でしたら針仕事(裁縫)や細かい字で文章を書くといった作業が原因になりました。

胸郭出口症候群

若くて、なで肩の女性に多く見られる病気です。

胸郭出口とは聞き慣れない言葉ですが、一番上の肋骨(第一肋骨)と鎖骨、そして斜角筋がつくるすき間のことで、ここは腕の神経や血管の通り道になっているため、狭くなって圧迫されると肩こりなどの症状が出てくるのです。

特定の動作をしたときに腕や肩がだるくなったりするような人は、この病気の可能性を疑ったほうがいいかもしれません。

肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節の周辺が炎症を起こすのが五十肩(40歳代の方なら四十肩)で、個人差はありますが、「痛くて肩が動かせない」「肩関節の動きが悪い」といった症状に悩まされる人が多いようです。

五十肩には三段階あります。初期は「急性期」で肩関節が痛みます。やがて半年ほどで痛みは軽くなるのですが、その間に、肩関節周辺の筋肉などが収縮され、これを「拘縮期」と呼びます。

拘縮が起きた結果、肩の動きがさらに悪くなり、腕を上げることができなくなるのが「慢性期」です。

インビンジメント症候群

インビンジメントとは、「衝突」という意味です。

上腕骨と胴体部分の筋肉を結び、肩関節の動きを補助している腱板という組織があります。インビンジメント症候群はその名の通り、腱板や上腕骨を覆っている肩峰下滑液包(関節の動きをよくするための液が入った袋)が炎症を起こして、関節と衝突することで痛みが出るのです。滑液とは簡単にいいますと機械に差す油のようなものですから、それが機能しないと身体を自由に動かすことはできません。

頸部脊柱管狭窄症

背骨(脊椎)の中心には脊髄と、それに続く馬尾神経が通っているトンネルがあり、これを脊柱管と呼びます。この部分にカルシウムが沈着したり(黄色沈着や骨化症)、椎間板が飛び出したりして狭くなると、神経を圧迫してさまざまな症状が生じるのです。たとえば首をまっすぐにすると痛く、ちょっと曲げると楽になったりするときは、この病気の可能性があります。

治療法としては脊柱管に周囲の骨を削るなどの方法がありますが、椎間板ヘルニアを併発しているときには、そちらも併せて治さなければなりません。

変形性頸椎症

加齢などによって頸椎の椎間板が変形し、クッション性が失われてくると、頸椎どうしがぶつかって骨棘と呼ばれる骨の突出ができたり、椎骨の並びにずれが生じて変形します。これが変形性頸椎症で、骨棘が神経に触れれば痛みますし、変形によって運動性が失われます。そしてここからすべり症など他の病気にもつながっていくので注意が必要です。

また、椎間板ヘルニアと併発してることがあります。

頸椎すべり症

すべり症というのは背骨(脊椎)の椎骨のどれかが前後左右どちらかの方向にずれてしまう病気で、腰に起きれば腰椎すべり症、首の場合は頸椎すべり症となります。

すべり症になるにはいくつかの原因があり、そのひとつが分離症です。これは、椎骨にあるさまざまな突起、具体的には上関節突起、横突起、棘突起などの出っぱりになんらかの無理な力が加わって「ひび」が入り、ずれてしまうことで、ヘルニアと同じようにその部分が神経に触れると痛みます。そして突起のずれによって椎骨どうしのかみあわせが緩み、横に動いてしまうのがすべり症であり、これによってさらに症状は悪化することがあるのです。したがって、頸椎すべり症も頸椎分離症も、基本的には同じ病気です。

すべり症はほとんどの場合、腰(腰椎)で起きる病気ですが、骨の構造や力のかかり具合が似ている首にも及ぶことがあります。頸部脊柱管狭窄症や変形性頸椎症も含め、椎間板ヘルニアを併発している可能性があり「腰に起きる病気は首にも起きることがある」と思っていてください。

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