3.首は人体における大幹線。手指の皮膚が痺れたら要注意

首の内部構造を見ていくと、ここが急所である理由がよくわかります。なぜなら、次のような、人体の機能を司る重要な器官が軒並み通っているからです。

  • 脳の指令を全身に伝える運動神経および自律神経
  • 頭部以外の感覚器からの情報を脳に伝える感覚神経
  • 栄養物を口から胃に運ぶ消化管
  • 空気を口や鼻から肺に送る気管

さらに頭部を支える背骨の一部である頸椎が加わるのですが、首の太さ(首回り)は成人男性でもせいぜい36〜40センチメートル。断面の面積では腰の4分の1程度しかありません。ですから当然、さまざまな無理が生じます。

実際、強度的にみると首は人体の他の部分よりかなり劣っており、締めつけられただけで簡単に呼吸や血流が止まってしまいます。

また、身体の他の部分には何の被害もないような軽い交通事故であっても、頸椎を痛めてむち打ち症になってしまうケースはめずらしくありません。ちなみに、多くの格闘技で首への直接攻撃を禁じ手にしているのは、それだけ弱く、危ないからです。


首を支える頸椎は、7個の椎骨と、そのあいだに挟まれている椎間板で成り立っています。

正確にいうと上の第一頸骨と第二頸骨のあいだにはないので、首の椎間板は5個ということになります。

7つの頸椎

そして神経根が頸椎沿って頭部から降りてくるのですが、椎骨のあいだから枝分かれするかたちで頸神経が出て、腕を通って手の先まで届いています。

ここが重要なポイントです。頸神経はそれぞれがそのまま5本の指につながっています。ですから、もし一番上の椎間板がヘルニアを起こして神経を圧迫すると、親指のしびれや痛みの症状として現れることが多いのです。

上肢の皮膚知覚帯

もちろん、しびれや痛みなどは必ずしもピンポイントで感じるわけではありませんから、ヘルニアの起きた部分と指の症状の相関関係は、絶対的なものではないのですが、ひとつの目安にはなるでしょう。


実際の治療では、患者さんの訴える症状は全体的な首こりや肩こり、あるいは頭痛などの範囲の広いものになることが普通なので、問診だけで原因を特定することはありません。

症状の細かい分析をするとともに、レントゲンやMRIによる科学的な診察が重要なのです。

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キリンやくじらにみる首の仕組み